映画の上映と著作権に対する考え方

大学内で映画の上映会を行うにあたって、本会の著作権に対する考え方を記しておきます。

日本の著作権法では映画作品について、「映画の著作物」として上映権(第22条の2)や頒布権(第26条)が保護されています。これに基づき映画制作会社は、営利目的の上映について、対価の支払いを要求しています。

日本国際映画著作権協会 (JIMCA) | Compliance | 無断上映は違法です!



しかし現行法では、「非営利」「無料」「無報酬」の上映については著作権者の権利に関わらず、自由に上映ができることになっています。

(営利を目的としない上演等)
第 三十八条 公表された著作物は、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金(いずれの名義をもつてするかを問わず、著作物の提供又は提示につき受ける対価をいう。以下この条において同じ。)を受けない場合には、公に上演し、演奏し、上映し、又は口述することができる。ただし、当該上演、演奏、上映又は口述について実演家又は口述を行う者に対し報酬が支払われる場合は、この限りでない。


「映画の著作物」の「非営利・無料の上映」に関する考え方(文化庁著作権課)


これに従い本会では、映画の鑑賞そのものを目的とした、映画作品の非営利・無料の上映を行うこととします。

但し上記は、上映権についてです。当該映画作品の入手については頒布権(第26条)や複製権(第21条)に従い法に認められた範囲内で行うものとします。


これについても教育目的の複製には例外があります。

(学校その他の教育機関における複製)
第 三十五条 学校その他の教育機関(営利を目的として設置されているものを除く。)において教育を担任する者は、その授業の過程における使用に供することを目的とする場合には、必要と認められる限度において、公表された著作物を複製することができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びにその複製の部数及び態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。

尚、参考までに図書館での映画作品の貸し出しについては以下の様な定めがあります。

第38条 5 映画フィルムその他の視聴覚資料を公衆の利用に供することを目的とする視聴覚教育施設その他の施設(営利を目的として設置されているものを除く。)で政令で定めるものは、公表された映画の著作物を、その複製物の貸与を受ける者から料金を受けない場合には、その複製物の貸与により頒布することができる。この場合において、当該頒布を行う者は、当該映画の著作物又は当該映画の著作物において複製されている著作物につき第26条に規定する権利を有する者(第28条の規定により第26条に規定する権利と同一の権利を有する者を含む。)に相当な額の補償金を支払わなければならない。

著作権法38条「営利を目的としない上演等」で非営利無料で、公に上演、演奏、上映、口述することができることが定められています。報酬が支払われる場合は、この非営利無料にあたりません。交通費、お昼代程度ならいいのですが、演奏料、上演料として支払うのはあてはまりません。

38条5項により、映画の著作物を貸し出す場合には、一定の補償金が必要とされます。1986年くらいから、図書館でビデオ購入する場合には、教育的なものでは定価の2倍、娯楽的なものでは定価の3倍程度で販売していました。ビデオテープが非常に高額になり、買えなくなってしまったので、日図協が交渉し、ビデオ制作者側が定価販売を前提に権利処理をして日図協をとおして売ることにしました。
 図書館での映画会が、地元の映画館と競合するようなものを上映することは、違法ではありませんが、民業圧迫と言えます。そこで、映像ソフト協会と日本図書館協会の申し合わせ事項では、映画館で上映しているようなものは図書館で上映しないということで合意しています。

http://www.lib.pref.yamanashi.jp/tosyokan/librarian/kenshukai/H16sankouto2.html