クワイエットルームにようこそ

予想以上に良い映画だった。
「Welcome to the Quiet Room.」
それは自覚のないまま、精神科病院閉鎖病棟保護室で拘束具を付けられていた佐倉明日香(内田有紀)が目を覚ますところから始まる。そのストーリー展開から不思議系のちょっと恐い話?あるいは象徴的に使われている真っ白なヴィジュアルイメージからアート系の映画なのか?とも思いきや。明日香がクワイエットルームに入れられたのにはちゃんと理由があって、徐々に明かされていく。

病院の内部や運用はちょっと作り物臭いというか現実と異なるところもあると思う。(閉鎖病棟に入ったことがあるわけではないので適当なことは言えないが)

ただ、人の病理(精神を病んでいく構造)がとてもリアルに描かれていると思う。それにしても切ない。

友人・家族・恋人との不和、人間関係のトラブル、自己の未達成感、いじめ・虐待、仕事、経済的困窮、トラウマ、ドラッグ。こういった過度のストレスがかかることが複数重なったりすれば人間結構簡単に病んでいくものだと思っている。そしてそれらは、嗜癖、依存、摂食障害自傷といった形で発露する。

統合失調症や多重人格といった精神疾患、知的障害は登場しない。それらに比べれば上に上げたのは比較的わかりやすい精神疾患とも言える。

精神科病院の、閉鎖病棟の話だからといって、あまり異空間のことだと思わないほうがいい。少なくとも上に挙げたようなものには誰だってなる可能性がある。


あ、ところで、映画はそんなに重い話ばかりではない。結構コミカルで笑えるところもある。